育児休業を取ると収入が大きく減る、というイメージから、取得をためらったり、期間を短くしようと考えたりする人は少なくありません。ただ、育児休業給付金は「賃金の67%」という額面の数字だけを見ると、実態より厳しく見えてしまう制度です。
額面の割合と、手取りへの影響は一致しない
育児休業給付金は、休業開始から180日目までは休業開始前の賃金の67%、181日目以降は50%が支給されるのが基本の形です。この「67%」という数字だけを見ると、収入が3分の1減るように感じられます。
ところが、手取りベースで見ると目減りはもっと小さくなります。理由は2つあります。
ひとつは、育児休業中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されることです。免除されている期間も、年金の受給額を計算するうえでは保険料を納めたものとして扱われます。もうひとつは、育児休業給付金そのものが非課税であることです。所得税がかからず、翌年の住民税の計算対象にもなりません。
つまり、働いているときの手取りはすでに社会保険料と税金が引かれた後の金額であるのに対し、育休中の給付金はそれらが引かれません。額面同士で67%を比べるのではなく、手取り同士で比べると、差はもっと縮まります。この「額面と手取りで差の見え方が変わる」構造については、額面と手取りの差はどこへ行ったのかで扱っています。
なお、一定の条件のもとで給付を上乗せする仕組みも設けられています。適用の条件は制度改正で変わることがあるため、取得を具体的に検討する段階では、勤務先やハローワークで最新の条件を確認してください。
見落としやすいのは、振り込みまでの間隔
金額よりも注意しておきたいのが、支給のタイミングです。育児休業給付金は原則として2ヶ月ごとにまとめて後払いされます。加えて、勤務先を通じた申請手続きの期間も必要になるため、休業に入ってから最初の振り込みまでには数ヶ月かかることが一般的です。
この「制度としては受け取れるが、まだ入金されていない期間」を手元の現金でしのぐ必要がある、という構造は、傷病手当金・失業給付にも共通しています。
試算するときは、手取りの金額と時期の両方を入れる
育休期間を含めた家計を試算するときは、「額面の67%」ではなく、社会保険料の免除と非課税扱いを踏まえた手取りベースの金額を、実際に振り込まれる時期に合わせて入れてみてください。給付が始まるまでの数ヶ月を現金でカバーできるかどうかが確認できると、取得期間の判断はしやすくなります。