年収や月収の話をするとき、多くの場面で使われるのは「額面」の数字です。一方で、実際に生活に使えるのは口座に振り込まれる「手取り」の方で、この2つにはおおむね2〜3割の差があります。この差の中身を把握しておくと、家計の試算をするときに数字を取り違えにくくなります。
差の内訳は、大きく分けて4つ
額面から差し引かれているものは、主に次の4つです。
- 健康保険料 — 医療費の自己負担が原則3割で済むのはこの保険料を払っているためです。会社員の場合は勤務先と折半で負担します。
- 厚生年金保険料 — 老後の年金の原資になるもので、こちらも勤務先と折半です。料率は18.3%で固定されており、本人負担はその半分にあたります。
- 雇用保険料 — 失業給付や育児休業給付の原資になります。負担割合は上の2つに比べると小さめです。
- 所得税・住民税 — このうち住民税は、今年の収入ではなく前年の所得をもとに計算されます。この仕組みが転職や退職の直後に効いてくる理由については、住民税はなぜ去年の所得で決まるのかで扱っています。
なお、40歳以上になると介護保険料も加わるため、額面が変わらなくても手取りが少し減ります。
料率は毎年少しずつ変わる
社会保険料の料率は固定ではなく、健康保険料率は加入している保険者や都道府県によって異なり、雇用保険料率も年度ごとに見直されます。「額面の何割が手取りになるか」は一定ではなく、同じ年収でも人によって、また年度によって変わります。正確な数字を知りたい場合は、直近の給与明細の控除欄を見るのが確実です。
試算に使うべきは手取りの方
MiraiFlowで毎月の収入を入力するとき、使うのは額面ではなく手取りです。理由は単純で、生活費の支払いや貯蓄に実際に回せるのは手取りの金額だからです。額面で入力してしまうと、毎月2〜3割ほど多く見積もった状態で試算が進み、「使えるお金」が実態より大きく出てしまいます。
給与明細を手元に置き、控除がすべて引かれた後の「差引支給額」を入力する。これだけで、試算の精度は大きく変わります。