マンションを買った後、修繕積立金が段階的に上がっていくのは珍しいことではありません。
月1万円が2.5万円になる。値上げ幅は1.5万円なので、外食を数回減らせば吸収できそうに見えます。ところが、この1.5万円は2方向に効きます。
貯まるペースが落ちて、下限が上がる
手取り38万円、生活費26.5万円という家計を考えます。毎月8.5万円ずつ貯まっていて、生活防衛資金の下限は3ヶ月分の79.5万円です。
修繕積立金が1.5万円上がると、まず毎月貯まる額が7万円に減ります。18%ほどのペースダウンで、1年で見ると18万円の差になります。
同時に、生活費が28万円になったことで下限が84万円に上がります。修繕積立金は毎月必ず出ていくお金なので、生活費に含まれるからです。上がり幅は値上げ額の3ヶ月分、4.5万円。
貯まる速度が落ちて、守るべき下限が上がる。1.5万円という見た目より、家計への効き方は大きくなります。
大規模修繕の一時金は、意外と穏やか
一方、身構えられがちな一時金の方は、実はそれほど響きません。
同じ条件で、翌年に一時金30万円が発生するとして計算すると、1年後の貯金は30万円分減ります。ただし、期間中にいちばん薄くなる時点は変わりませんでした。支払いの時期には、すでに貯金が積み上がっていたからです。
一度きりの支出は、それを払える現金があるかどうかだけの問題です。対して毎月の固定費が増えることは、収支と下限の両方に効き続けます。
警戒すべきは一時金より値上げの方、というのがこの試算の結論です。
戸建てでも、形が違うだけ
戸建てには修繕積立金という項目がありません。ただ、外壁の塗り替えや給湯器の交換は同じように発生します。違いは、毎月徴収されるか、必要なときにまとめて払うかだけです。
積立の仕組みがないぶん、自分で毎月取り分けておかないと、必要になったときに貯金から一度に出すことになります。取り分けた分を「使えない現金」として扱うなら、性質としてはマンションの修繕積立金と変わりません。
値上げの予定は、買う前に分かる
多くのマンションでは、長期修繕計画のなかで将来の値上げ時期と金額が示されています。
購入を検討する段階で、今の金額ではなく計画上の最終的な金額で試算しておくと、後から想定がずれにくくなります。購入時の月々の負担については、賃貸と購入、総額比較の前に「月々」と「初期費用」を見るでも扱っています。