会社を辞めて独立した直後や、収入が不安定な時期に、国民年金の保険料が負担に感じられることがあります。このとき、支払わずにそのままにしてしまうか、免除や猶予を申請するかで、後々の結果が大きく変わります。金額の問題以上に、保障そのものが失われるかどうかという違いがあります。
未納と免除は、まったく別の扱い
同じ「保険料を払っていない期間」でも、手続きの有無で扱いが違います。
免除を申請して認められた期間は、受給資格期間に算入されます。さらに、保険料を全額免除された期間であっても、国庫負担分にあたる割合が将来の年金額に反映されます。払っていないのに、一部は年金として戻ってくるということです。
納付猶予(50歳未満が対象)や学生納付特例の場合、受給資格期間には算入されますが、年金額そのものには反映されません。それでも、次に説明する保障は維持されます。
未納は、何も手続きをしなかった期間です。受給資格期間に算入されず、年金額にも反映されません。
いちばん大きな差は、障害年金と遺族年金
将来の年金額の差も無視できませんが、より深刻なのはこちらです。
障害年金や遺族年金には、保険料の納付要件があります。おおまかに言えば、一定期間きちんと納付または免除の手続きをしていることが、受給の条件になっています。
未納の期間が長いと、この要件を満たせなくなることがあります。つまり、病気やケガで働けなくなったときや、万一のときに、公的な保障を受けられなくなる可能性があるということです。免除や猶予の手続きをしていれば、この要件は満たされます。
保険料を払えない状況は誰にでも起こり得ますが、手続きをするかどうかは選べます。そして、この2つの結果はまったく違います。遺族年金の仕組みそのものについては、遺族年金がいくらあるかを知らないと、備える金額が決められないで扱っています。
免除には段階がある
免除は全額だけではありません。所得に応じて、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除という段階が設けられています。全額は難しくても一部なら払える、という場合にも申請できます。
審査の対象になるのは本人の所得だけではなく、配偶者や世帯主の所得も含まれます。そのため、同居している家族の状況によっては認められないこともあります。申請してみないと分からない部分なので、まず窓口で相談するのが確実です。
あとから納める選択肢もある
免除や猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば後から納める(追納する)ことができます。収入が安定してから、余裕のある時期にさかのぼって納めることで、年金額を本来の水準に戻せます。
ただし、免除を受けてから3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされます。追納を考えているなら、早めの方が負担は軽くなります。
一方、未納の場合は原則として2年を過ぎると納められません。手続きをしていれば10年間の猶予があるのに対し、していなければ2年で確定してしまう、という差があります。
独立を考えている段階で確認しておく
会社員のうちは厚生年金の保険料が給与から自動的に引かれているため、この手続きを意識する機会はありません。独立して国民年金に切り替わると、納付も手続きも自分の責任になります。
会社員からフリーランスへ、収入が漸増する期間のシミュレーションで扱ったように、独立直後は収入が安定するまでに時間がかかることがあります。その期間の家計を見積もるときは、国民年金保険料と、退職後の健康保険の負担を生活費に含めておいてください。そのうえで払いきれないと分かった場合は、未納ではなく免除の申請を検討する、という順序になります。
免除の要件や追納の条件は改正されることがあるため、実際の手続きは年金事務所または市区町村の窓口で確認してください。