生活防衛資金として「66万円」と一度決めたら、その金額はずっと同じ安心を保証してくれるわけではありません。物価が上がり続けると、同じ66万円で買えるもの・賄える生活費は少しずつ減っていくためです。
「金額」ではなく「何ヶ月分の生活費か」で考える
生活防衛資金は、本来「生活費の◯ヶ月分」という形で決められています。ところが、いったん「66万円」という金額で覚えてしまうと、その後生活費が上がっても、66万円という数字だけが一人歩きしてしまいがちです。
たとえば、月の生活費が22万円で3ヶ月分=66万円だったとします。物価上昇で生活費が月24万円まで上がった場合、同じ3ヶ月分を確保するには72万円が必要になります。金額を据え置いたままだと、実質的には3ヶ月分を下回っている状態です。
年2%の物価上昇でも、数年で無視できない差になる
仮に物価上昇率が年2%だとすると、3年後には物価は約106%、5年後には約110%になります。生活費も同程度で上がっていくとすれば、5年前に決めた66万円は、5年後には実質的に60万円程度の防衛力しか持たない計算です。急激な変化ではないため気づきにくいですが、放置すると防衛ラインは静かに薄くなっていきます。
定期的に「生活費」から金額を計算し直す
対策はシンプルで、生活防衛資金を固定の金額としてではなく、「現在の生活費の◯ヶ月分」という計算式として持っておくことです。年に一度など、決まったタイミングで現在の生活費を確認し、その時点の金額に更新すれば、物価が変わっても防衛ラインの実質的な強さは維持できます。金額そのものを覚えるより、計算式を覚えておく方が、長い目で見ると安心につながります。