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エッセイ

節約は続くのに、家賃の見直しが後回しになる理由

努力の量ではなく、努力の向き先の話です。小さな節約が続いて大きな判断が止まるのには、意志とは別の理由があります。

ポイント還元率の高い決済方法を調べ、電気とガスのプランを比較し、使っていないサブスクを解約する。こうした節約は、始めると意外と続きます。

一方で、家賃が今の生活に対して適正かどうか、入っている保険が本当に必要な内容かどうか、そもそも月にいくらまで使ってよいのか。こちらは「いつかちゃんと考えよう」と思ったまま、何年も手つかずだったりします。

金額の大きさで言えば、明らかに後者の方が効きます。それなのに順序が逆になる。これは意志が弱いからではなく、もう少し構造的な理由があります。

続くかどうかを決めているのは、効果ではなく速さ

小さな節約には、結果がすぐ見えるという性質があります。

決済方法を変えれば、その場でポイントが付きます。サブスクを解約すれば、翌月の明細から消えます。行動と結果の間隔が短く、しかも「やった」ことが目に見える形で残る。だから手応えがあり、続けやすい。

大きな判断は逆です。家賃を下げるかどうかを検討しても、引っ越すまで結果は出ませんし、引っ越した後も「あのとき決めて正解だったか」を確かめる方法がありません。保険を見直しても、効果が確認できるのは何か起きたときだけです。判断してから結果が見えるまでが長く、そもそも答え合わせができない。

つまり私たちは、効果の大きい順ではなく、手応えの返ってくる速い順に手をつけている。意志の問題ではなく、フィードバックの速さの差です。

後回しにされる側の共通点

そう考えると、後回しになりがちなものには共通点があることに気づきます。

一度決めれば長く効く。頻繁に見直す必要がない。だからこそ、今日やらなくても困らない。困らないので、明日でもよくなる。

家賃、保険、通信費のような固定費。そして「毎月いくらまでなら使ってよいか」という基準そのもの。どれも、決めた瞬間から毎月効き続けるタイプの判断です。効きが大きいのは、まさに長く効くからです。そして長く効くものほど、今日でなくてもいい。

裏を返せば、年に一度で足りる

ここまでは少し厳しい話に聞こえるかもしれませんが、同じ構造には救いもあります。

大きい方の判断は、頻繁にやる必要がないのです。小さな節約が毎日の作業であるのに対して、こちらは年に一度、あるいは生活が変わったタイミングで一度見直せば足ります。

日々の節約をやめる必要はありません。あれはあれで、続けられる形になっているのだから続ければいい。ただ、年に一度くらいは、金額の大きい方に目を向ける時間を取る。それだけで、努力の総量を増やさずに、効き方はかなり変わります。

削る前に、全体を一度見る

そしてもうひとつ。固定費を見直すにしても、その前に「今の状態で、そもそもどこに余裕があってどこにないのか」が分かっていないと、削る場所を勘で選ぶことになります。

削れるところから削るのではなく、全体を一度見てから、効くところを選ぶ。順番としてはこちらの方が、少ない手間で済みます。年に一度でいい作業だとしたら、なおさら順番を間違えたくないところです。

自分の場合はどうなる?

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