「収入が一定額を超えると、それ以上増えても幸福度はあまり上がらなくなる」という話を聞いたことがある人は多いと思います。実際に転職や昇給で収入が増えた人の中にも、「思ったほど気持ちに余裕が生まれなかった」と感じる人は少なくありません。
収入が増えても、不安の中身は変わらないことがある
収入が増えても安心感につながらない理由の一つは、収入が増えるのと同時に、生活水準や将来への期待も一緒に上がってしまうことです。より良い住まい、より良い食事、より良い教育。収入の増加分が新しい支出や新しい基準に吸収されてしまうと、手元の余裕という意味では、以前とあまり変わらないままになります。
もう一つの理由は、収入が増えても「この生活を続けて、将来的に本当に大丈夫なのか」という問いには、収入の額だけでは答えられないことです。収入が増えても、その分支出や将来の予定も増えていれば、不安の正体である「分からなさ」は解消されません。
幸福度を左右するのは、金額よりも「見通しがあるか」
収入そのものよりも、「今の生活を続けて、決めておいた最低ラインを下回らずにいられるか」が分かっているかどうかの方が、日々の安心感には効いてきます。見通しが立っていれば、収入がそれほど高くなくても落ち着いていられますし、逆に見通しが立っていなければ、収入がいくら増えても不安は残り続けます。
「もっと稼げば安心できる」の前に
収入を増やすこと自体は悪いことではありません。ただ、「もっと稼げばこの不安は消えるはず」という前提そのものを、一度疑ってみる価値はあります。今の収入のままでも、将来の予定を踏まえて見通しを立てられれば、案外そこにたどり着けることもあります。